15年以上前から韓国カルチャーの魅力に取り憑かれ、2010年からK-POPダンスインストラクターをしているLiL KyonAさんにK-POPダンスのルーツや魅力についてインタビュー。
LiL KyonA:私がK-POPの魅力を感じたのは、確か2007年ごろのあるMV見た時にものすごい生衝撃を受けました。
まさにエイベックスさんなんですけど、倖田來未さんのラストエンジェルという曲で東方神起さんとコラボレーションしたMVでした。私はもともとダンス&ボーカルのパワフルに踊るのが好きだったので倖田來未さんのMVや楽曲をよくチェックしていました。そのころはK-POPの知識は全くなかったのですが、そのラストエンジェルのミュージックビデオから伝わる”強さ”とか、”インパクト”がものすごくて衝撃を受けました。
私が昔から好きな全員が歌って踊れてラップができる、実力派アーティストグループ一体どこに隠れてたの!?と衝撃を受けました。
スタッフ:そんなに衝撃を受けたんですね!?
倖田來未-KODA KUMI-『LAST ANGEL feat.東方神起』~ 20th Year Special Full Ver. ~
LiL KyonA:はい、そこでこれは一体誰だ??と、調べたら韓国のグループと知り、これがK-POPに興味持ち出した最初きっかけでしたね。どんどん調べれば調べるほど、掘れば掘るほどいろいろなK-POPの事情が見えてきました。
当時はなかなかK-POPという言葉もなかったので、韓国が好きな人を探すためにミクシィと言うコミュニティーサイトで韓国好きな仲間を探していました。
あともう一つ韓国にはまるきっかけとなったのが偶然なのか旅行に行っても韓国人と韓国人の方と仲良くなったりとか出会う機会が多くて必然的に韓国にはまっていきました。それも大きな理由の1つだったと思います
スタッフ:なるほど!運命ですね(笑)では、その後K-POPってどう変化してきましたか?
LiL KyonA:まず、K-POPアーティストって研究すればするほど本当に実力至上主義だなと感じていました。
20代後半のバラードの歌手にしても大御所のような歌い方をしていた人も多くて、、、、とにかく実力主義です。
あとちょっと様子がおかしい曲(笑)が多かったなぁと覚えてます。例えば面白い言語を繰り返す『ミッチョ、ミッチョ、ミッチョ、ミッチョ』とか。 『マッキョ、マッキョ、』、とか。
とても響きが面白いのと、曲の構成にしても斬新なものが多いですね。東方神起 さんのRising Sunとかもそうですし、東方神起さんの先輩のH・O・T(エイチーオーティー)さんとかも、当時は本当に斬新な曲構成でした。1回聴いたら忘れられないメロディーでしたね。面白い言語を繰り返す感じの響きが中毒性があり、そんな曲のことをフックソングという言い方もしてました。
スタッフ:なるほど、まず曲が日本(J -POP)と比べて斬新なイメージだったんですね!ダンスはどうですか?
LiL KyonA:ダンスは、正直そこまで今のような感じではなく、2010年頃までは中毒性のある振り付けよりは洋楽の流れでTLCとか女の子のアイドルでもステップ系とかのダンスが多かったですね。今みたいにセクシーに踊る感じっていうのは少なかったと記憶してます。で、2010年代前半ごろから韓国系の女性アイドルがめちゃセクシーでキレのあるダンスに変わってきた感じですね。この頃から曲の中毒性に加わり、ダンスも振り付けが可愛く真似したくなるような中毒性のあるダンスに変わってきました。この辺りがK-POPの存在がすごく爆発的に人気になるきっかけだったと思います。
スタッフ:なぜ若者はK-POPに熱狂するのですか?
LiL KyonA:中毒性がある曲の影響もあると思いますが、とにかく韓国は映像戦略がすごい!
日本では著作権の管理が非常に厳しい国なんですけども韓国では惜しみなくYouTubeにどんどんあげるんですね。ティザー動画から全てが見れるMVやプロモーションビデオ。そして振り付けを学べるプラクティス動画やイベントやライブのfancamがyoutubeにUPされたり。ほんと全部出す。その戦略でファンが増えたんだと思います。
その中でもプラクティス動画の存在はとても大きかったと思います。
歌番組も引きでずっと撮るようにしているとか徹底してますよね。またプラクティス動画といいつつも、MV並みにメイクしてばっちり撮る感じとか、もうプラクティス動画でなく、MVだなって思います(爆笑)
スタッフ:確かに!レッスン着っぽく見えて、よく見るとめちゃくちゃ高級なT-シャツとか着てる!
LiL KyonA:
(爆笑)そうなんです!
そういうところが、日本のアーティストと全然違っていたななと思うところです。
で、見てるとなんか踊りたくなるというか、できそうな気がする!とかきっとあると思います。
スタッフ:日本のMVはカッコよくアングルをバチバチ変えてるから振り付け自体はとても真似しようと思えないかもですね。
LiL KyonA:はい、ほんとにそうです。
K-POPダンスは若い子たちのダンス欲を掻き立てる要因になっていると思います。
あと、1回見ただけでも印象に残るので実際やってみると意外と真似しやすい振りで、これが『沼』にハマるんですよ
スタッフ:沼??没入感ですね!なんでそんなにハマっちゃうんです?そのK-POPダンスの魅力はなんですか?
LiL KyonA:『中毒性のあるキャッチーさ』。ですかね!
HIPHOPとかも曲や歌詞の二ュアンスを捉えた振り付けをしますが、ダンス&ヴォーカルは特に曲や詩に合わせた振り付けになっているんですね。そこもハマっていくポイントですね。
あとは、K-POPならではの見せ方と角度とか目線とか、他のジャンルにも確かにあるんですが、、、ちょっとアイドルになりたいと思ったことがある人には、アイドル気分を味わえるようになるので楽しくてしょうがないと思います。
スタッフ:なるほど、きっと自分がアイドルになりきれちゃう擬似体験とか、なんか可愛く見えたりカッコよく見えたりしてくるんでしょうね?多分メイクとかと似ている?もっと可愛くなりたいとかと同じ衝動ですかね?
LiL KyonA:はい、近いと思います。特にK-POPダンスの”要素”をちゃんと拾っている人は間違いなく感じると思いますね。
スタッフ:要素?要素とは??
LiL KyonA:単にコピーダンスと思われがちなんですが、コピーって凄く緻密な作業でして、、、
K-POPの曲で踊っているのですが、ただHIPHOPを踊っているとか。それ自体は踊っている人が楽しければ全然問題ないんです。ダンスは楽しむのが一番だと思うので。ただ、HIPHOPの洋楽でJAZZを踊っていたら違和感あるのと同じで、やはりK-POPダンスの要素がちゃんとあってそこをしっかりと踊れると数倍楽しいですね。特にガールズの方が体の使い方が真逆なことも多いんですよ。他のジャンルと同様にHIPHOPへのこだわりとJAZZへのこだわりがあるように、K-POPダンスにもそのベースがあるのでそこをちゃんと伝えていきたいですね。
今は人気もあるし需要があるからK-POPクラスがめちゃくちゃ増えてるんですが、増えてきたからこそ自分はK-POP楽曲で踊るだけのK-POPダンスでいたくない。もっと本質的な部分をちゃんと伝えられるレッスンが増えてほしいと願っています。
スタッフ:なるほど、単なる一過性の流行りジャンルではなくダンスのジャンルとして確立されつつあるということですね。
LiL KyonA:はい、HIPHOPで例えるとオールド、ミドル、ニュー、アーバンと時代や音楽に合わせてどんどん進化しているのですが、やはり基礎って重要だと思います。同じようにK-POPダンスにもベースとなっている基礎があって、しなやかさ、S字ライン、角度、音のとり方、表情や髪の毛の動き(髪技と名付けていますw)まで含めディティール(細部)の追及をしてシンクロ率を高める、そしてボディーコントロールなど。やはり拾ってほしい要素がたくさんあります。その計算され尽くしているディティールを再現することをしっかりと生徒には伝えていきたいです!
スタッフ:奥深いっすね・・・ありがとうございました!